失われた環

失われた環

 

 

書き忘れた季語を

見つからないように足元へ埋めた

なるべく幸せでいて下さいね

若い微笑みを支える日々にも

名前にしかない綻びがあること

「いつか」でいいから思い出せるよう


大切に大切にしていたんだものね

街を行き交う背中を眺める

称賛はなくても生活があるので

あなたへ届く、陽の光と言葉じりの全てが

暖かいことを願いましょうか


小さな笑いじわと答え合わせもせずに

まっすぐのびる行く道一本を

恐ろしく信じ込んだままなら

冷えた両手を溜息で温め、

なるべくそのままで生きて下さいね