対象外

対象外

 


他人の庭にだけ昇った太陽の

あまった光を盗み食うていた


毎朝軒先へ青臭いバケツを置き

溜まった光を盗み食うていた


行く先々で呼び止められる

名前を誰かに盗まれたまま

ねぇ、で振り返り、はい、と答える


背中に貼られた紙切れの枠内に住む

罰点の数を知らないままで

首筋へ丸を書き足していた

ベンチの無い国

ベンチの無い国

 

いつか、に戸惑う眼瞼の海

転がるボール、足元に消え

退くか退かすか差し当たる手背

金平糖で話す君が目障りだ

 

またね、に怯えて動けない身体

今この場所だけに、深緑の雨

見えない影の向きも変わって

マンホールとだけは遊びたくない

 

無理だ、と刺されて浮き彫りの脈

あの銀色の気持ちを取り戻したい

息をかけても動けない背もたれから

離れられない、反響したカサド

 

口承

口承

 

 

右より


君の敬語が

月にタオルケットを掛け、

眠らせてしまう


静かに動く四輪駆動、一時停止線を跨ぐ

秩序宇宙に4泊3日

薄荷ばかりで埋まった中指の爪

切って撒いても芽が出てこない


左へ